南スーダンPKO派兵部隊の新任務の中止と撤退を求める要請

 戦争をさせない石川の会は、安倍政権による南スーダンにおけるPKO派兵部隊の新任務付与は、日本が戦争の惨禍に巻き込まれる第一歩になりかねない危険なものと認識しています。当会では、新任務を付与した閣議決定の撤回と新任務の中止を求めるとともに、南スーダン情勢が「PKO参加5原則」を崩壊させるほどに悪化していることから、派兵部隊の即時撤退を求める要請を安倍首相及び稲田防衛大臣に送付しました。要請文を紹介します。 

 

南スーダンPKO派兵部隊の新任務の中止と撤退を求める要請

内閣総理大臣 安倍晋三  様

防衛大臣   稲田朋美  様 

 政府は11月18日、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に参加する第11次自衛隊部隊に対し、安保法制(戦争法)で可能になった「駆けつけ警護」と「宿営地共同防護」の新任務を命令しました。来月12日からの新任務実行により、自衛隊員が日本から遠く離れた南スーダンにおいて、「殺し、殺される」事態に巻き込まれるのは明白です。

 政府は「駆けつけ警護」の必要性について、南スーダンに滞在する日本人を守るためと述べていますが、閣議決定した「実施計画」では日本人のみを警護するという限定はどこにもありません。PKO部隊の他国軍兵士やNGO関係者などが襲撃された際、自衛隊が武器を持って現場に駆けつけ救助するのがそもそもの任務です。

 いま南スーダンの情勢はきわめて悪化しています。11月1日に発表された国連特別調査団報告書は、7月に首都ジュバで発生したキール大統領派(政府軍)とマシャール前副大統領派との戦闘で数百人が死亡する事態となり、その後も各地で戦闘が続いていることから、両派の「和平合意」は崩壊したと断定しています。この時は、NGO関係者も政府軍の武力襲撃を受け、殺人や略奪が行われました。南スーダンは深刻な内戦状態に陥っており、停戦合意や中立性など自衛隊の「PKO参加5原則」は既に崩壊しています。

 安倍首相は、首都ジュバは比較的落ち着いていると根拠のない「安全性」を強調していますが、国連特別調査団のパトリック・カメーア氏は日本の報道インタビューに対し「最悪の場合、自衛隊が(南スーダン)政府軍の兵士と敵対することもあり得る。それが現実だ」と述べています。(11月19日「報道特集」)政府軍との交戦は、憲法9条が禁止する海外での武力行使そのものです。 

 政府は国民にPKO活動の新任務について「必要性」や「安全性」を強調しますが、どれもがごまかしの説明と現地の情勢を直視しない恣意的判断によるものです。直近の国民世論も56%は新任務付与に反対しています。(11月22日付け朝日新聞)

 戦争をさせない石川の会は、このような安保法制(戦争法)を具体化したPKO活動における新任務の付与を直ちに中止し、新任務付与の根拠である閣議決定の撤回を求めます。また、「PKO参加5原則」が崩壊したもとでは、自衛隊を南スーダンから直ちに撤退させるよう要求します。

 

  2016年11月25日

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