西尾慧吾さん講演要旨「ヤマトンチュとして沖縄に向き合う」

【2023.9.16  講演要旨】

ヤマトンチュとして沖縄に向き合う ―沖縄戦を繰り返さないために―

「遺骨で基地を作るな!緊急アクション!」呼びかけ人

西尾慧吾

  講演する西尾慧吾さん

 

今日私がお話しする「遺骨土砂問題」は、サブタイトルの「沖縄戦を繰り返さないために」です。沖縄戦の歴史に私たちはどう向き合うがが問われている。1945年4月1日にどうして沖縄での地上戦が始まったのか。当時は1年も前から沖縄に軍隊が配備され、住民を動員して飛行場を増設し、軍と住民の距離を縮めていった。その準備期間を経て地上戦が始まった。いま再び沖縄を戦場にするような動きに対して、沖縄戦の実体験を通じてヤマトンチュとして今の沖縄問題について考えていきたい。

 

 私と沖縄との出合い

 2015年高校生のとき修学旅行で初めて沖縄に行った。被爆地の広島や長崎への修学旅行と異なり、沖縄戦の事前学習もせずにリゾート気分だった。しかし戦後70年経っても沖縄では戦没者の遺骨収集が行われていた。戦争の爪痕が残っている現実を知ったことが契機となり、沖縄戦について一生懸命学ぶことにした。

 遺骨土砂問題とは

 沖縄戦戦没者の遺骨が残されている沖縄県南部(糸満市、八重瀬町)の土砂を使い、民意に反する辺野古新基地建設が強行されようとしている。私がこの問題を知ったのは、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマファ」の具志堅隆松さんが2021年3月、沖縄県庁前でハンガーストライキをされたとき。この時は沖縄タイムス、琉球新報はいずれも1面全部を使って報道した。基地建設反対の人だけではなく、戦没者の遺骨を埋め立てに使うことは人として許されない運動として大きく広がった。沖縄県議会の自民党会派も防衛庁に申し入れたり、沖縄県議会では全会一致で意見書を採択した。ところが全国メディアはほとんど報道しなかった。

 辺野古の軟弱地盤を埋め尽くすには大量の土砂が必要であり、国は沖縄県内から、しかも戦没者の遺骨・遺品が残された南部地域からその大半を搬出することを決めている。ヤマトンチュとしてこの構造を打破しなければと思ったのが私の行動の始まりである。

 歴史的・構造的沖縄差別

 構造的=日本の国家・社会の仕組みが、沖縄の犠牲を前提に組み上がっている。沖縄には基地があり、何か有事が起きると基地がある沖縄が犠牲になる。日米安保体制、日米地位協定は沖縄の犠牲なしに成り立たない。

 歴史的=沖縄の犠牲を前提にした同じ構造が、1609年の薩摩侵攻、1879年の琉球処分による併合、1945年の敗戦で沖縄を米軍の占領下など、形を変えて400年以上続いている。

 差別=沖縄だけが一方的に、常に犠牲にされる側である。

 この状態は現在も継続されているのではないか?

 必要なのはヤマトンチュの覚悟と想像力

  私は珠洲市の坂本菜の花さんら沖縄県内外の若者たちと共に呼びかけ人となり、「具志堅さんのハンガーストライキに応答する若者緊急ステートメント(声明)」をウェブで発表した(2021年3月5日)。また4月5日~9日、「若者、ガマフャと語る」をYouTubeでオンライン配信し、ブックレットも出版した。

 「沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋め立てに使用しないよう求める」自治体意見書運動にも取り組み、沖縄県議会は2021年3月議会で、私の地元の大阪府茨木市議会では同年6月議会で意見書が採択された。具志堅さんが全国各自治体に働きかけたところ、石川県内では金沢市議会が同年6月議会で、坂本菜の花さんらが請願した珠洲市議会では9月議会など8自治体が採択しており、全国で意見書採択自治体は230を越えている。市議会レベルでは、辺野古新基地建設問題に触れなくても人道上許されない問題として意見書を採択したところが多い。

県内の埋め立て土砂採取場所と
調達可能量
地区 調達可能量
(単位千㎡)
国顔村     2,340
北部 名護市    9,482
本部町
南部 糸満市   31,596
八重瀬町
宮城島    300
宮古島    505
石垣島  480
南大東島      60
合計   44,763
(注)南部地域の調達可能量は全体の70.6%を占める

 

辺野古 埋め立て状況
埋め立て場所 実施済 計画量 達成率
辺野古側  約264万㎥   約319万㎥ 約83%
大浦湾側 0 約1699万㎥ 0%
全体  約264万㎥ 約2018万㎥ 約13%

 

   南部土砂なくして辺野古新基地建設なし

 辺野古の大浦湾側を埋め立てるには大量の土砂が必要である。これまで土砂投入から4年で埋め立て地域の投入量は13%にとどまっており、工事の見通しが立たない。別表からわかるように南部から土砂を採れないと大浦湾側を埋めることができないから辺野古新基地は完成できない。だから南部地域の土砂を埋め立てに使うか否かは辺野古新基地建設の成否に大きな影響を与える。

 具志堅さんの言葉「負ける気がしない」「勝たねばならない闘い」

 6月23日慰霊の日、「守ろう!戦没者の尊厳+沖縄県民の命」集会での具志堅さんの発言を紹介する。

「戦没者の遺骨を、血を吸い込んだ南部の土地から土砂を取って埋め立てに使うというのは、戦争の犠牲者への冒涜に他ならないからです。これは絶対許してはいけません。世の中に間違っていると断言できることはそんなにありません。しかし、これは明らかに間違っています。人道上間違っているんです。私たちが沖縄戦から得た教訓というのは、大きく言って二つあります。一つは軍隊は住民を守らない。そして、軍隊がいる所は軍隊に狙われると言うことです。」

 正義・人道のための闘いを「沖縄任せ」にしない

 遺骨土砂問題も、辺野古新基地建設問題も、全てヤマトンチュが作り出し沖縄に押しつけている問題である。「県知事頑張れ」とヤマトンチュが言うのは無責任。頑張るのは私たちヤマトンチュの方である。

 日本政府の姑息な沖縄分断政策こそ最も批判すべきである。「遺骨土砂」の搬出等、沖縄県・具志堅さんらウチナンチュの運動側と沖縄の業者とが分断・対立させられることで、問題が沖縄内部に矮小化されている構図を見極めなければならないと思う。

 今日のお話が石川県において新たな火種になればよいと思います。ありがとうございました。

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