猿田佐世さん講演録画 配信

 

戦争をさせない石川の会・講演会/講師 猿田佐世さん

 戦争をさせない石川の会は、「戦争」をテーマにした連続学習会を開催しています。ウクライナの戦争が止まないなか、日本政府は新たな安全保障政策(安保3文書)を取り決め「戦争する国づくり」を進めています。この流れに歯止めをかけるため、市民の力を高める学びを重ねていきます。

 今回は5月20日(土)に猿田佐世さん(新外交イニシアティブ代表/弁護士)を講師に、新外交イニシアティブが昨年末に発表した提言「戦争を回避せよ」の報告をいただき、その趣旨を学びます。ぜひご参加くださるようお願いします。

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ロニー・アレキサンダーさん講演会 録画配信

 戦争をさせない石川の会が11月5日、近江町いちば館4階集会室で開いた講演会の講演要旨を紹介します。

「ウクライナ問題-消えないモヤモヤ感」

神戸大学名誉教授  ロニー・アレキサンダー

講師のロニー・アレキサンダーさん

 私は愛猫ポーポキとの仮想問答をとおして〝平和〟をずっと考えてきました。「平和って何色?」と質問すると、さまざまな答えが返ってきました。感性だから正解はないのです。そもそも平和を一つの色に限定することに無理があるのです。

 お互いに個性を尊重しあい、個々人が持っているものを発揮できる状態は、平和であればこそ。たとえ戦争がなくても、差別や貧困があれば、それは決して平和とは言えないのです。

 世界の平和運動は、実は困難が山積しています。米国の平和運動は元々まとまりにくい事情がありますし、「平和」をもたらす解決策も、非暴力平和主義から軍事力強硬論まで様々ですし、「制裁」を支持するか否かについても、容易に意見は一致しません。

 その間に、兵器産業や金融投機筋の収益はうなぎ上りとなっており、その一方で食料・燃料エネルギー・肥料など、脆弱性のある地域を中心に人類の生存を脅かす事態が進行し、それが女性、貧困層、労働者などにシワ寄せとなっています。この根底にある問題に目をつむるわけにはいきません。

 軍隊があるから戦争が起きるのです。真の平和な社会を築くためには、お互いの〝つながり〟が決め手です。それさえあれば社会の不条理に一緒に立ち向かうことが出来るのです。

 たしかに非暴力を貫くのは難しいです。しかし非暴力の土台をつくる努力を決して忘れてはなりません。

 若者たちには、自身に抜けている視点はないかを冷静に考えてほしい。そしてモヤモヤを共有することから出発できれば、何かが始まるのだと伝えたい。違う者同士の接点づくりの技術を身に着け、未来社会の平和の土壌づくりに本気で勤しんでほしいのです。

池内 了・講演会「ウクライナ侵攻から平和を考える」動画配信

【戦争をさせない石川の会・講演会】

  ウクライナ侵攻から平和を考えるー世界史の順行と逆行ー

 名古屋大学名誉教授  池内 了  

            講師の池内 了さん

  池内了さん(名古屋大学名誉教授)の講演会が戦争をさせない石川の主催で7月31日、金沢歌劇座2階大集会室で開催されました。宇宙論の研究者である池内さんは、地球から見て火星の動きが順行と逆行を繰り返しているように見えるが、巨視的には惑星として共にJ順行している。世界史で、戦争と野蛮、非戦と戦争も順行と逆行を繰り返しているが、長期的には世界は変わっているとの基本的視点を展開されました。

 戦争の歴史で、科学技術の使用が進むに伴い、次々と残酷な手段を禁止する条約が成立した(ジュネーブ議定書、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約)。戦争と平和の逆行と順行は、戦争の度に戦争に頼らないで紛争を解決する道を拓いてきた(国際連盟、国際連合)。この順行の流れの中で日本国憲法の平和主義が生まれ、日本が決して侵略国家にならない、平和の中で生きていくことを宣言した。

 戦後、大国間の戦争は回避されて来たが、軍事大国(米、ロ、中国)は、軍拡競争を牽引し多くの小国への侵略と威圧で、逆行の道を歩んでいる。しかし、核保有5カ国は、国際世論に追い詰められ「核戦争を防ぎ、軍拡競争と核の拡散を行わない」共同声明を出さざるを得なくなっている。

 ロシアのウクライナ侵略は、世界史の逆行であり、第3次世界大戦、核戦争、国連の限界を内包している。この行方には3つの方向(ロシア又はウクライナの敗北、ウクライナの停戦受け入れ=白旗)が想定されるが、多くの批判があるが白旗路線を考えている。それは、命に勝る正義なしとの立場からである。

 現在ウクライナにとって、国権主義か私権主義かが問われており、国家による戦争遂行の強制と基本的人権の対立軸は報道されていない。世界が採るべき方策は、国連総会決議を最高の意思決定として、安全保障理事会を上回る拘束力を持つ国連改革であり、ロシアとウクライナに即時停戦を説得する決議と核兵器先制使用禁止決議であろう。

 戦後、侵略をしない国として信頼を得て来た日本は、参議院選挙の結果、日本が侵略する国になりかねない危険が増している。

 自民党改憲案で自衛隊を軍隊と明記すると、一般刑法と別に軍事法廷や徴兵制の導入が想定される。大学や研究者が守ってきた「学術は軍事に協力しない」ことが崩されつつある。研究費の貧困を背景に、防衛省安全保障技術研究推進制度による軍事研究が行なわれている。経済安全保障法の下で軍事・機微技術の開発を国が管理する重要技術育成プログラム(5,000億円)は、4領域(宇宙、海洋、サイバー空間、バイオ)20分野の推進計画で、参加する研究者には守秘義務が課せられ、軍事研究を強める施策が進んでいる。

 これまでに成立した悪法により民主主義の根幹が危うくなっている。また若者への教育は貧弱で、政治的無関心が助長され、同調圧力や「空気を読む」雰囲気の中で、社会の一体化の共同幻想に陥り、私権の制限すら許容する傾向が見られる。これは、ファシズムに導かれる危険であることを知らなければならない。

 個々人の生命、生活、人権を確保することを最優先にして、平和を守る。軍事力に頼よれば、却って戦争の危険を増やす。私は「ピカソで平和を守る」と提唱している。文化の満ち溢れた社会にし、非武装都市宣言で平和を守る、そのためにも、慌てないで諦めずに粘り強く平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を主張し続ける必要がある。

 講演後の質疑応答で、「科学が軍民共用(デュアルユース)であり、区別できないと考える教員が多い、その対応は?」との質問に、3つの基準(財源=防衛省か文科省か、応募の目的は何か、公開性が担保されているか)で区別することができると答えられた。

 

[声明]ロシアのウクライナ侵略に抗議し、岸田文雄首相に戦争終結の外交努力を求める

 戦争をさせない石川の会は、このたびのロシアによるウクライナへの侵略に深い憤りを持っており、ロシアの侵略に強く抗議するとともに、一刻も早く戦争を終結させるために岸田文雄首相が外交交渉による解決への努力をさらに強めるよう要請する声明を発表しました。内閣総理大臣宛に送付した声明文を掲載します。

 

内閣総理大臣  岸田文雄  殿

[声明]ロシアのウクライナ侵略に抗議し、岸田文雄首相に戦争終結の外交努力を求める

 ロシア軍のウクライナ侵略は国際法に違反する明確な犯罪行為です。ロシア軍の侵攻作戦はウクライナ各地で無差別攻撃となっており、子どもを含む民間人の死傷者は増え続けています。ゼレンスキー大統領が「大量虐殺」と非難し、3月11日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合では各国が戦争犯罪だと指摘しました。

 ロシア軍の原子力発電所への攻撃は、プーチン大統領が示唆する核兵器の使用に現実味をもたらしています。日本は世界で唯一つの被爆国であり、福島第一原子力発電所事故で核のもたらす甚大な被害とその危険性について身を持って経験しています。プーチン大統領とロシア軍の核をもてあそぶ行為は、人類の生存に対する挑戦であり強く非難します。

 「侵略やめよ」の国際世論と連帯行動は急速にわき起こっており、市民社会のロシア包囲網は日に日に高まっています。

 また、ウクライナは、ロシアがルハンスク及びドネツクにおいてジェノサイド行為が発生しているとの虚偽の主張を行い、ウクライナに対する軍事行動を行っているとして、ロシアを国際司法裁判所に提訴し、裁判所は、3月16日、ロシアに対して直ちに軍事作戦をやめ、また、軍隊や非正規部隊等が軍事作戦を更に進める行動をしないことを確保しなければならない、とする「暫定措置命令」を出しました。私たちはこの判断を強く支持するとともに、ロシアは直ちに無条件で撤退することを求めます。

 今このときも、ウクライナで多くの血が流れ市民は恐怖にさらされています。一刻も早く戦争を終わらせ平和を回復するには外交による解決が急がれます。広島出身の岸田文雄首相は、核被害の経験と憲法9条を持つ国として、ロシアの蛮行に歯止めをかける外交交渉を担える立場にあります。日本国民の反核と反戦の強い世論を背に世界の政治指導者を動かす先頭に立ち、戦争終結に導く努力に踏み出すよう強く求めます。

  2022年3月19日

                        戦争をさせない石川の会

世界における平和のための博物館 ご案内

◎国際平和博物館ネットワークから標記の出版物を進呈いただきました。戦争をさせない石川の会HPに紹介します。

『世界における平和のための博物館』について

拝啓   

    平和のための博物館関係の皆さま、2020年の年の瀬をむかえ、大変な一年でしたがいかがお過ごしでしょうか。
    私たちは国際平和博物館ネットワークという市民団体です。今年の9月に国際平和博物館会議をオンラインで開催しましたが、その時に『世界における平和のための博物館』という博物館名鑑を出版しました。最新版(英語、日本語版)はINMPのホームページで読むことができます。
https://sites.google.com/view/inmp‐2020/museums‐for‐peace-worldwide
    世界で303館そのうち日本は84館あります。原稿を送つて下さつた皆さまには、心よりお礼申し上げます。なお、連絡が取れなかった館については、ホームページを参考に執筆しました。もし訂正があれば、inmpoffice@gmail.comへご連絡いただけますとINMPのホームページで訂正させて頂きます。この本には写真がありませんが、INMPのホームページには載せています。(平和博物館の外観と展示など2枚)
   今回の国際平和博物館会議の報告、ビデオのほとんどを上記のホームページで見ることができます。ただし英語ですので、報告の日本語要旨を次アドレスで読むことができます。
https://drive.google.com/file/d/1FRUu4KxvA6b8NZlM9JauqX64J8gGhwkp/view
   なお海外の平和博物館の和訳や出版、発送では、立命館大学国際平和ミュージアムとINMPの会員の協力で実現しました。
   この本が、今後の活動や他館との連携に活用されることを願つています。
   寒い中ご自愛ください。

敬具

2020年12月23日
京都市北区等持院北町56‐ 1   立命館大学国際平和ミュージアム
INMPオフィス
山根和代
inmpoffice@gmail.com

 

編集者からのお願い

 近年、学校教育や社会教育の機関としての平和博物館の役割への期待が高まっており、多くの平和博物館が新設されたり、既存の博物館が改修されたりしています。また、序文やジョイスロアプセル教授の寄稿文にもあるように、博物館の内容が多様化する傾向にあり、各国の平和博物館の状況は刻々と変化しています。
 本書で取り上げた博物館は、これまで国連やINMP(International Network of Museums for Peace)などが発行してきた平和博物館アーカイブに収録されている博物館のリストをもとに、その後に出てきた新たな情報と合わせてまとめたものです。これまで接触する機会のなかった多くの国や地域で、新たな平和のための博物館が設立されている可能性があると考えています。
 また、COⅥD-19の影響が世界的に広がる中、従来の平和のための博物館は入場者数の激減と収入の激減に見舞われ、当然ながら変革を余儀なくされています。今後10年で戦争体験者が減少していく中で、戦争の「個人の記憶」を「社会的記憶」として保存することが求められるようになり、平和博物館は従来の実物や写真の展示に加えて、電子空間による情報発信にも力を入れていかなければならなくなります。平和資料館を取り巻く環境が変化する中で、平和資料館自体も変化を求められることは避けられず、次の10年は最近の10年とは大きく異なる新たな変化を遂げることが予想されます。
 したがって、本書の内容を常に刷新していくことが不可欠であり、それなしには本書のディレクトリの価値を維持することは困難です。本書の編集者は、INMPが世界の平和のための博物館をさらにネットワーク化していくためには、平和博物館に関する情報を収集・整理していくことが重要であり、後継者がINMPのウェブサイトの情報をさらに充実させていくことが不可欠であると考えています。そのためには、多くの方々の情報提供が必要となりますので、読者の皆様のご協力をお願いしたいと思います。
 情報提供は、inmpoffice@gmail.comまでお願いします。

 

3月18日、共謀罪法案シンポジウム 報告要旨

 共謀罪法案シンポジウム・報告

 戦争をさせない石川の会が3月18日、近江町交流プラザ4階集会室で開いた「共謀罪法案シンポジウム」のパネリスト3人の報告要旨を紹介します。

 

(報告1)共謀罪と東京オリンピック

谷口源太郎(スポーツ・ジャーナリスト)

 安倍首相は今国会で「共謀罪を成立させて国際組織犯罪防止条約を締結しなければ東京五輪は開けないと言っても過言でない」と強調した。これはIOCの規定にもない全くのデマです。安倍首相はなぜこのような主張をするのか、その狙いは何か。

 2011年11月にスポーツ基本法が成立した。1964年の東京五輪のときもその3年前にスポーツ振興法が成立したが、その内容は東京五輪に向けて国を挙げての選手強化だった。ところがスポーツ基本法は国家プロジェクトとして「スポーツ立国」をめざすこと、このために国際的なイベントを積極的に誘致することを謳っている。五輪はその最たるものでこれがスポーツ基本法の本質である。

 五輪憲章ではオリンピックの目的は、個人とチームの間で行われるものであって、国家間で行われるものではない、とナショナリズムを排除している。しかし現在、この五輪憲章は骨抜きになっており、国威の発揚による各国のメダル競争になっている。

 2020年東京五輪組織委員会の森喜朗会長と安倍首相のコンビは、オールジャパン体制(国策への反対を排除して、国民総動員体制)への足掛かりとして東京五輪をめざしているのは明らかだ。国益のため東京五輪開催に文句を言わせない社会づくりとして共謀罪を成立させようとしている。「何のため、誰のためのオリンピック開催か」を問い直すべきだ。

 メディアは五輪が持つ問題点を伝えていない。先日、NHK解説員が「リオ五輪の成果」として①国威の発揚、②国際的な存在感、③経済的効果、④組織改革、⑤スポーツ文化の継承を上げていた。〝国威の発揚〟を一番に上げている。五輪憲章には「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」が謳われているが、昨今では国家間のメダル競争、勝利至上主義、さらには巨大資本のコントロールのもとに五輪大会が開かれている。共謀罪に反対する人たちの中にも五輪はよいものという意識が広がっているが、東京五輪と共謀罪がどのような関わりがあるのか理解していただきたい。

 

(報告2)泊・横浜事件と言論弾圧

向井嘉之(ジャーナリスト)

 泊・横浜事件は、戦前の治安維持法により編集者や研究者が60人以上、逮捕された一大言論弾圧事件である。この時代背景には1917年ロシア革命、1918年米騒動、1922年日本共産党が非合法に結成され、1923年関東大震災が発生するなかで、1925年治安維持法が制定された。

 最初の治安維持法は、国体(天皇制国家体制)の変革を目的とした結社を組織する行為に対する処罰(10年以下)だったが、度重なる法改正でなし崩し的に捜査対象が拡大した。1928年の緊急勅使による改正で国体変革目的の結社の組織は最高刑(死刑)にした。このとき現在の共謀罪と同じように「結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為」も同等に処罰する(目的遂行罪)が設けられた。さらに太平洋戦争を始めた1941年に全面改正された治安維持法は、国体の変革結社を支援する結社、組織を準備する目的の結社(準備結社)、さらにその目的遂行行為も処罰の対象とした。この法律にもとづき最初にでっち上げたのが泊・横浜事件である。

 事件の端緒になったのは1942年9月14日、雑誌『改造』に「世界史の動向と日本」を発表した評論家の細川嘉六が治安維持法で検挙されたこと。同年7月3日~5日、細川の故郷、富山県泊町(現・朝日町)の旅館で開かれた「世界史の動向と日本」出版記念会が「共産党再建準備会」とでっち上げられ、イモずる式に60人以上が逮捕され、拷問で自白を強要して4人が獄死、32人が有罪判決を受けた。

 今国会に提出されようとしている共謀罪は、犯罪行為がなくても計画や準備、共謀の合意があれば捜査できる。このねらいは国民の権利運動の抑圧であり、市民運動への恣意的な取り締まりが公然と行われる。共謀罪が「平成の治安維持法」と云われる所以である。

 いま安倍首相も同じことを云っているが、治安維持法ができたときは「一般市民には何の関係もない」と云われていた。しかし一旦、法律ができると次々に改正され、共産党員、共産党シンパ、外郭団体、労働組合など捜査対象が広がっていった。石川県でも川柳作家の鶴彬が治安維持法違反で逮捕されている。このような法律は運用があいまいであり、現代社会ではライン・電話・室内盗聴などの傍受が横行する恐れがある。東京五輪と共謀罪は何の関係もないが、「治安」を口実に何も文句を云わない社会づくりが共謀罪の一番のねらいである。

 戦前の3悪法は軍機保護法、国防保安法、治安維持法。現代の3悪法は特定秘密保護法、安保法制、共謀罪である。これが揃えば「戦争する国づくり」が一気に進む。この法案は絶対に阻止しなければならない。

 

(報告3) 「共謀罪」の危険性

     ~近代刑法の原則、犯罪捜査の観点から~

宮西 香(弁護士)

 最初に近代刑法の原則を理解していただいたうえで、「共謀罪」の問題点についてお話しする。

 犯罪とは、①構成要件に該当する②違法かつ③有責な行為であり、法益(法律によって保護される利益)を侵害し、または危険に陥れる行為である。構成要件とは、刑罰法規に規定された個別的な犯罪の類型。犯罪が成立するためには、まず行為がこの構成要件に該当することが必要である。例えば刑法第235条(窃盗罪)では「他人の財物を窃盗したものは10年以下の懲役又は50万円の罰金に処する」と定められている。このように現行刑法は、行為のうち、法益侵害又はその危険性のあるものを個別・具体的に抽出し、処罰の対象となる行為とそうでない行為を明確に区分している。

 また現行刑法では、①既遂処罰の原則:一般に刑罰の対象を「既遂」に限定し、一部の犯罪を例外的に「未遂」で処罰し、さらに一部の重大犯罪のみを「予備」で処罰するという体系をとっており、②行為処罰の原則(思想不処罰の原則):人の思想や内心を処罰の対象にしていない。

 今回の共謀罪=組織的犯罪処罰法改正案(6条2項)では、「組織的犯罪集団により行われる重大な犯罪実行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかにより準備行為が行われたとき」処罰の対象になる。この「組織的犯罪集団」の定義があいまいで、権力の恣意的判断で一般市民も対象になる恐れがある。「計画」は外部からうかがいしれない。「準備行為」を限定することも困難である。「その計画をした者のいずれかにより」では準備行為をしないものも罰せられてしまう。しかも対象となる罪が227もある。既遂処罰が原則の現行刑法の体系を根底から変容させる重大な問題がある。

 共謀罪の捜査はどのように行われるのか。「計画」(合意)に関する捜査手法は、会話、電話、メール等の人の意思を表明する手段及び人の位置情報等を収集することになる。つまり内心の自由を侵害する。

「計画」にもとづき「準備行為」がなされれば処罰の対象になる。これまでは犯罪の結果があって容疑者の捜査が開始されているが、共謀罪では「計画」の段階から捜査が行われる。犯罪の予防と犯罪の捜査の境目があいまいであり、警察は目を付けた団体を日常的に監視することになる。気が付いたときに手遅れにならないように、一人ひとりが工夫して発信していこう。              

平和憲法施行69周年記念県民集会 中野晃一さんが講演

 戦争をさせない石川の会も参加している「戦争法廃止!憲法改悪阻止!」を呼びかける八団体の主催する『平和憲法施行69周年記念県民集会』が憲法記念日の5月3日に本多の森ホールで開かれ、上智大学国際教養学部教授・中野晃一さんが表記の主題で記念講演された。

中野晃一 講演写真

投票率を上げることが絶対に必要と説いた中野晃一氏

 守る「対象」の転換

 中野さんの講演は、冒頭、現状分析と説明から始まり、安全保障政策の変換、今後の展望へと広がりをみせた。

冷戦期の緊張状態から続くアメリカ圧力と自衛隊との関係。それに対して、日本では憲法九条という軸が縛りとして機能し、「専守防衛」、「個別的自衛権」による防衛体制が確立された。武力ではなく「外交」で解決をめざし、無理な場合には「必要最小限」の対応を行うという大原則。

 その理念の下、「個別的自衛権」の事実的な発動はなされておらず、自衛隊は災害支援など「国民の安全を守る」ことに特化した活躍を続けており、それが国民からの自衛隊および憲法9条への支持につながっている。

 しかし、安保法制は、その理念と大きくかけ離れたものである。「専守防衛は変わらない」と言いながらも、これまでには存在しなかった「国際秩序」に関する要件が追加されたのが大きな違いだと解説。その要件によって、集団的自衛権の下で、日本国民を守るための仕組みが「国際的秩序(利益)」であり、それを守るための一連の安全保障政策が、自衛隊を「地域」という名の全世界を守るものへと変質させている、と危惧した。

 「改憲」から「壊憲」への潮流

 しかし、前述のように、実際に自衛隊が守る「対象」を日本国民から「国際的秩序」へ変えようとした時、抑止する機能を果たすのが日本国憲法である。その抑止を振り払うために現政権が進めているのが「壊憲」である。

 これは国際的な安全保障だけでなく、広く社会保障の分野にも見られている。行政・企業にとって法律的に不都合が生じた場合(サービス残業など)、手法を改めるのではなく、「実態に合っていない」として法律の側を変えようとするものだ。

 「国際的秩序」を守るため、憲法という国民との大きな約束を壊す。平時でさえそのような対応をとる国が、いざ戦時となった場合に本当に国民を守ってくれるのだろうか。それがとても不安だ、と語った。

 収奪・簒奪(さんだつ)の時代

 従来の保守的思想を表すものの一つに「穏健統治」という言葉がある。これは公共事業による社会安定を目指し、金銭・経済での問題解決を図る考え方とも言える。しかし、次第に質を異にする保守が現れる。

 国歌の強制をはじめとして、愛国心を煽り、「敵」「味方」をつくろうとする、そして、富める者が強くなり、貧しき者にはヘイトを煽ることによる被害者意識の醸成。これは、日本だけではなく、アメリカやヨーロッパにも見られるものであり、これを中野さんは「粗暴さを売りにしたセンセーショナリズム」と称した。

 しかし、世界の人々が皆その考えに付き従うわけではない。新自由主義への反対の声がイギリスやアメリカの若者を中心に広がっている。人権の簒奪、富の収奪。求めているのは一体、誰にとっての平和なのか。「我々の闘いは、自由・民主主義・立憲主義のために世界中で長い時間をかけて先達がつくってきたもの」、それを守る闘いという気持ちを強く持って活動することが大切だ、と訴えた。

 「魅せ方」SEALDsから学んだこと

 次に、現在の活動の広がり方について言及。その中で、SEALDsから得られた考え方を紹介した。従来、学者の会などは「正しければ伝わる」という考え方が強かったが、SEALDsでは「メッセージ」をどうつくるか、どう見せるかに重点を置いたことに衝撃を受けたという。一方的に伝え、それで関心を持たない人が悪い、という時代は終わり、昨日までの無関心な自分にどう訴えるかを考える、という時代へ移ったのである。デモも従来の「シュプレヒコール」から、「民主主義って何だ」などをはじめとする、新しい「コール」へ。

 無関心な人たちの気持ちを揺さぶるための伝え方、見せ方の工夫による魅了。学者の会の培ったものに「魅せ方」を重視した活動が加わったことが活動の広がりを強めたのである。

 「リスぺクト」の精神

 そして終盤。中野さんが幾度も繰り返し用いた言葉がある。それは個人の尊厳を踏みにじる戦争とは対極にある思想、「リスペクト」の精神である。SEALDsの工夫の根源には、伝えたい相手への「リスペクト」がある。

 これからの闘いを見据える中で、絶対に必要となるのは投票率を上げること。選挙に行くこと、あきらめないこと、続けていくこと。個人の尊厳を大切にしない社会に未来はない。新しい未来をどう築くのかが重要であると説き、最後に「ここで止めなければ200年、後悔するかもしれない。2014年が最低、2016年から上向いたね、といつか言い合えるように頑張っていきたい」と力強く締めくくられた。

2007年ー2014年 国政選挙投票率等の推移
政権 選挙 投票率 自民党 民主党
絶対得票率(比例) 相対得票率(比例) 議席率(計) 議席数(計) 絶対得票率(比例) 相対得票率(比例) 議席率(計) 議席数(計)
安倍一期 2007 参院 58.6 16 28.1 30.6 37 22.4 39.5 49.6 60
麻生 2009 衆院 69.3 18.1 26.7 24.8 119 28.7 42.4 64.2 308
2010 参院 57.9 13.5 24.1 42.1 51 17.7 31.6 36.4 44
野田 2012 衆院 59.3 16 27.6 61.3 294 9.3 16 11.9 57
安倍二期 2013 参院 52.6 17.7 34.7 53.7 65 6.8 13.4 14 17
2014 衆院 52.7 17 33.1 61.1 290 9.4 18.3 15.4 73
(注)自民党の絶対得票率(比例区)は2012年から16~17%台で議席率6割を占有している。

 

*本稿は非核の政府を求める石川の会会報「非核・いしかわ」第214号(2016年5月20日付)に掲載された中野晃一さんの講演要録です。     

須藤春夫・講演会「安倍政権のメディア支配と情報統制」

七尾・講演会②

戦争をさせない石川の会作成の「意見ポスター」を紹介する講師の須藤春夫さん

 戦争をさせない石川の会と九条の会・七尾の共催により、11月22日、七尾鹿島労働福祉会館にて、須藤春夫本会事務局長による「安倍政権のメディア支配と情報統制は何をねらうか」と題する講演会が開かれた。

 須藤春夫氏の講演レジメを以下に紹介する。

 

 

 

 

 

 

講演:安倍政権のメディア支配と情報統制は何をねらうか

1.安倍政権のメディア支配の特徴

(1)放送への介入と支配〜放送法を利用した合法性を装った介入

 ① 放送法の番組準則を理由に個別番組を攻撃

  (資料1)注:資料1~11は当日配布資料/PDF:260KBを参照 

  (資料2/PDF:344KB)

 放送行政が独任制の大臣の権限とされているという問題もあるため、番組編集準則を放送事業者の自律のための倫理規定として解釈・運用しない限り、放送法の内容規制を合憲とみることは難しい。同じことは番組調和原則にもあてはまる。番組編集準則は、従来、放送事業者の自律のための倫理規定であるとされ、旧郵政省もそのように説明していた。学説でも同様である。

 ② NHKの経営委員任命権を利用した支配 

   NHK経営委員は12名(任期は3年)。衆参両院の同意を得て内閣総理大臣が任命。経営委員長の選出は合議制。会長の選出には経営委員9名の同意が必要。経営委員会は月1回開催。

(2)朝日新聞を狙い撃ち、読売・産経新聞を厚遇

 ① 朝日新聞の「従軍慰安婦」誤報問題、福島第1原発吉田昌郎所長誤報発言を理由に徹底攻撃(資料4)

  • 朝日の「慰安婦」記事誤報問題は、誤報の取り消しが遅すぎ、また池上彰氏のコラム不掲載は報道機関としてお粗末すぎる。また、なぜこの時期に検証記事を掲載したのか。朝日は同時に福島第一原発事故をめぐる吉田昌郎所長の調書を報じた今年5月20日掲載のスクープ記事も取り消した。
  • 読売、産経、出版社系週刊誌による朝日バッシングが始まる→ネット上でも朝日バッシング→「売国奴」「国益を損ねた」「国賊」の言葉が復活→読売はこの機会を「千載一遇のチャンス」ととらえ朝日離れの読者を吸収する。
  • リベラルな論調のメディアを攻撃することで言論の多様性を失わせる。
  • 戦争ファシズムは、ある日突然に来るのではなく、初期は反対派の言論排除から始まる(もの言えぬ社会を作る)。いまはその段階に近い。週刊誌は朝日バッシングと嫌韓路線で販売部数増大をねらう(戦前と同じ状況)→そのもたらす結果について想像力が働かず、メディアの責任を放棄。

 ②全国紙幹部との会食、読売新聞、産経新聞への特ダネの提供(資料5)

  • 安倍首相は、小松一郎駐仏大使を内閣法制局長官に起用を固めるとの1面トップ特ダネを読売がだす(13年8月2日付け)。

 ③ 全国紙新聞の資本系列に沿ったテレビ局を選択して出演 

          読売=NTV、産経=フジテレビ、朝日=テレビ朝日、(毎日=TBS)

(3)周到なメディア戦略の実施

 ① 演出された首相発言(広告代理店が介在)

・プロンプターを利用した身振り手振り

 ② ぶら下がり取材の原則廃止と記者クラブの利用(資料6)

  • 不用意発言をさせないための方法
  • 記者クラブであれば、質問が事前に提出されている(2つの事例)
  1. 9月24日自民党両院議員総会で総裁に再選された安倍首相の記者会見
  2. 9月29日ニューヨークでの国連総会終了後の内外記者会見顛末
  • 朝日が少し触れただけで他のメディアは報じていない。
  • 政府側はあらかじめ質問者を5名に限定。NHK、共同、ロイター、テレビ朝日、アメリカの公共ラジオ局NPR(National Public Radio)の5人

   ③ メディア対策とメディア操作の違い

  • メディア対策〜用意されない質問にどう答えるかを徹底的に検討し対応すること
  • メディア操作〜想定しない質問が出ないよう記者クラブで質問者を限定したりあらかじめ質問の提出をさせる

 ④個人情報保護法、秘密保護法などにより権力が秘密保持を強化

  2.BPO意見書(11月6日)が指摘する政府の番組介入

  • BPO(放送倫理・番組向上機構)とは→放送における言論・表現の自由確保と視聴者の基本的人権を擁護するための第三者機関。
  • 放送による表現の自由は憲法21条によって保障され、放送法第1条2項で定めている→この原則は、放送事業者や番組制作者に課せられた「義務」ではなく、この原則を守るよう求められているのは、政府などの公権力。
  • 政府が番組への介入の根拠としている、放送法第4条第1項の放送準則は法規範ではなく、放送事業者が自律的に番組内容を編集する際のあるべき規準、すなわち「倫理規範」である→学会でもこの見解が定着。
  • 安倍首相、菅官房長官、高市総務大臣はいずれも「法規範」と主張→反知性主義の政治姿勢=戦争法制を合憲とする姿勢と共通している。

 3.政権にすり寄るメディアと萎縮するメディア

(1)読売、産経新聞の偏向報道の問題性

  • 「憲法改正」論をリードする読売の論調(資料7)
  • 安全保障環境の変化を強調し、軍事的「抑止力」の必要性を強調
  • 非科学的な世論調査手法で世論誘導をはかる(資料8)
  • 戦争立法に批判的勢力の意見・動向について過小な報道
  • 新聞資本と民放資本の連動が進み論調が一体化する→言論・表現の多元性を求めた放送法に違反

(2)NHKが危ない(追加資料で説明/PDF:344KB)

  • 政権批判をしないNHKの報道→NHKの性格は何か?
  • 経営計画「NHKビジョン2020」のねらいは何か→①公共放送から公共メディアへの転換宣言、②東京オリンピックを梃子に4K、8Kテレビの先導役を果たし、1,860億円の4K受像機市場を開拓、③国際放送の強化→「積極的平和主義」を世界に宣伝(資料9)
  • 受信料の支払義務化をねらう自民党と籾井会長発言→受信料支払義務化は国営放送への道(資料10)

(3)北國新聞の報道姿勢はジャーナリズムといえない

  • 地方紙では政権寄りの論調として特異な存在(資料11)
  • 地域メディアをどう改革するか→メディアの内容分析と批判の必要

4.安倍政権のメディア支配のねらいは何か

  1. メディアの分断と批判的メディアの弱体化→市民の知る権利を阻害。戦争する国に向かうには市民に真実を知らせない秘密主義を徹底化→報道ランキング資料
  2. 政権の広報メディアづくりにとどまらず、戦後レジームからの脱却にむけた世論(イデオロギー)操作→真実を覆い隠す虚偽、欺瞞を通してのイデオロギー操作→戦時中の広告が参考になる
  3. 安倍政権によってメディアのチェック機能(権力監視機能)を突破された。安倍政権はいろいろなことを突破したが、民主的なチェック機能も突破されてしまった。メディアの危機は日本の民主主義の危機→メディアの危機を政府の広報機関化だけの批判に止めてはいけない。私たちの知る権利の危機、ひいては民主主義の危機と認識する必要。
  4. 自民党・安倍政権の国家主義、全体主義の体質は、メディア対策だけでなく市民の反戦意識・行動を徹底排除するための監視体制、情報管理・統制体制を強化することに踏み出す→異論を排除するための装置として言論統制(多様な言論メディアの存在と国民の表現の自由を否定)とともに、「思想信条の自由」という個人の内面を管理する対策を強化する→秘密保護法、マイナンバー制度、共謀罪の画策→これらは、「知る権利の侵害」とだけとらえるのでなく、支配体制を維持するために、思想、表現、集会、結社などを権力的に抑圧することを目的とする治安立法の性格を持つものとして批判する必要がある。国民を萎縮させる威嚇により政府批判を押さえ込む。

5.メディアを批判的に読む能力を持つ市民の形成

  1. メディアを監視し励ます運動の必要性。
  2. メディア操作による世論形成、欺瞞性を見抜く力を持つ→真実を暴くことこそが最も力になる。
  3. 市民による民主的言論空間の形成→多元的な意見表明にもとづく熟議をとおして自律的市民となる必要。                                           

 

 

七尾・講演会①

七尾鹿島労働福祉会館で開かれた講演会には35人参加

 

2015・11・22 須藤春夫氏 講演会 感想文(順不同)

①テレビや新聞のみが我々一般市民の情報源である。知らないうちに洗脳されているのだと心配である。多様な情報に接するように心がけなければ。 

公平性が国益を優先される(ママ)時代に入ってしまったんだなぁ。今シールズなどの若者が民主主義を旗に、戦争法反対の大宣伝をしているが、このすばらしい若者も近い将来何らかの方法で頭を押さえられると思う。その時は、じじ、ばば、命をはって守ってあげなくてはならないネ。 

③安倍政治はおかしいといつも思っていますが、メディアの面でもどれだけ計画的におかしな方向へねじ曲げようとしているか、とてもわかりやすく教えていただきました。このままにしておいては、あっという間に戦争をする国になってしまうと思いました。国民もその気にさせて…。多様な情報が少なくなって国益が優先させられてきている。この国は本当にあぶなくなってきていることがよくわかりました。とても良い学習会でした。 

④聞けば聞くほどどんなにひどいことになっているのか、背筋が寒くなってきました。よい講演をありがとうございました。 

⑤たいへん勉強になりました。NHKの放送に怒りを覚えること度々あります。しっかり皆と話し合う機会をもって共有していきたいと思いました。 

⑥常々考えていたことに通じるお話をいただきました。もっと心して外に向けて発信せねばと強く感じたところです。ありがとうございました。 

⑦レジメに書かれてあることを全部聞きたいと思いました。しかし1時間という限られた時間の中ではBPOのことを中心に話していただいて、タイムリーで分かりやすくてよかったと思いました。安倍のメディア戦略にのせられないように、メディアリテラシーを身につけること、良心的なメディアを応援することが大事なのですね。 

⑧BPOのホットな材料からメディアのあり方の基本を教えていただきました。市川さんの「番犬の流儀」を読んでみたいと思います。 

⑨重要なテーマで1時間あまりの講演では語りきれない部分があったかと思うが、分かりやすい資料を用意されたので大いに勉強になる。このような会合を地道に続けられることが大切であろう。若い方にも大いに声をかけられたい。遠路はるばる来たかいがありました。ごくろうさまです。 

⑩街宣車から降りた(て地上デモする)右翼、ネトヨク(ママ)のヘイトスピーチ無法は街宣車を取り締まらないケイサツ 左からのデモ、訴えで上記を吹きとばすことを考えねばならない。「日本会議」側からの組織化を大目に見て放置してはよくないと思う。

8・30安保法案の廃案を求める石川県民大集会 報告

 戦争をさせない石川の会も参加団体の「戦争法反対!憲法改悪阻止!」を呼びかける8団体が主催して、8月30日(日)午前11時から金沢市・犀川桜橋河川敷で「安倍政治を許さず、安保法案の廃案を求める石川県民大集会」が開かれ、1,800人(主催者発表)の参加があった。

岩淵正明さん

九条の会・石川ネット呼びかけ人の岩淵正明さん

 

     九条の会・石川ネット呼びかけ人の岩淵正明氏が主催者挨拶を行った。

「安保法案には日本弁護士連合会はじめ、全国108の大学でも反対声明を出し、安保法案に反対する学者の会への 賛同者も広がっている。元最高裁判事、元裁判官、元内閣法制局長官など憲法にかかわる大多数の人々が〝違憲〟と批判している。安倍内閣は衆議院で安保法案を強行可決し、参議院でも9月中頃に強行可決を目指している。憲法を無視し、国民の声を無視することは独裁政治であり、憲法に対するクーデターだ。本日は国会周辺の10万人集会はじめ、全国200ヵ所以上で100万人の集会、抗議行動が開かれている。このような大きな国民運動を背景に安保法案を廃案に追い込むため、県内でも最大限の努力をしよう」

 

あざみ昭三さん

戦争をさせない石川の会代表の莇昭三さん

 

 戦争をさせない石川の会代表の莇昭三氏は、「戦後70年、国の在り方が危機に直面しており、全国各地で各界、世代を超えて安保法案の反対運動に起ちあがっている。戦争体験者の先輩から『戦争になってから戦争に反対するのは非常に困難である』と教えられた。安保法案が通れば元に戻れない」と強調した。

 

 

 

 

西村依子さん

金沢弁護士会会長の西村依子さん

    金沢弁護士会会長の西村依子氏は、「戦争は最大の人権侵害であり、人権は平和の下でこそ守ることができる。今般、国会に提出された安全保障法制を改変する法案は、憲法上許されない集団的自衛権を容認するものであり、憲法第9条に真っ向から違反する」(2015年5月29日、日本弁護士連合会決議)を紹介し、金沢弁護士会は立憲主義と人権擁護の立場から安保法案に断固反対する。法案の廃案に向け共にがんばりましょう、と連帯の挨拶があった。

 

 

 

ママの会

安保関連法案に反対するママの会からも訴えがありました

 安保関連法案に反対するママの会から3家族のママと子ども達の訴えがあった。

 「安保法案が衆議院で強行採択された7月15日、私たちママ友は今後どうすればよいか、話し合った。地元の議員に直接私たちの声を届けようと呼びかけ、4歳から84歳まで186人の人たちからメッセージが寄せられた。意見欄には『安保法案に反対』とともに、『国民の意見を無視しないで』という声がたくさんあった。安倍政権は民主主義、基本的人権をないがしろにしている。言葉によって人間が獲得した大事な表現力を国の圧力によって奪われてはいけない。キチンと言いたいことは自分の言葉で伝える。一人ひとりがこうした行動をとれば、本当の意味で民主主義が実現できると思う。ママの会は、『だれの子どももころさせない』ため、これからも地元議員との対話を続けていく」

 さらに北陸SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)を発足させるため活躍している高岡市の高校生や青年法律家協会北陸支部、県平和運動センターからの訴えもあり、雨降り中の集会だったが、「アメにも負けず」「アベ政治は許さない」集会参加者の決意を固めることができた。

  集会アピール(別掲 PDF: 122KB)を採択の後、参加者は桜橋から犀川大橋―片町―香林坊―武蔵ヶ辻の市街地を「戦争法案・絶対反対!」「戦争反対・九条守れ!」とコールしながらデモ行進した。

デモ行進

アメにも負けず、「アベ政治を許さない」「戦争法案を廃案に」と力強くアピールしました

 

ホームページを開設しました

戦争をさせない石川の会は2014年10月1日、ホームページを開設しました。随時新着情報を追加・更新していきますので皆さんのご活用をよろしくお願いします。

関連リンク

記憶の灯り 希望の宙へ
いしかわの戦争と平和
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める!いしかわ市民連合

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