平和憲法公布70周年記念 石川県民集会/北村肇さんが講演

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                      「憲法」を自分たちのものにしよう、と力説された北村肇さん

 

 戦争をさせない石川の会も参加している「戦争法廃止! 憲法改悪阻止!」を呼びかける八団体が主催し、11月3日、金沢歌劇座大集会室で開かれた「九条を守り、戦争する国づくりをやめさせよう!」石川県民集会における北村肇さん(「週刊金曜日」発行人)の講演要録を紹介します。

<講演要録>

安倍政権の「壊憲」暴走を阻止する!

~マスメディアの問題と市民の役割 

  「週刊金曜日」発行人  北村 肇

安倍首相の狙いは、「改憲」と見せかけた「壊憲」

 安倍首相はかって96条改憲を打ち上げたことがあったが、本当の狙いは集団的自衛権の行使容認の解釈改憲であった。世論調査でも「改憲反対」が多数を占めているなかで96条改憲を持ち出すことはありえない。米国政府から日本政府への要求は、憲法条項の改正ではなく解釈改憲である。

 次に狙ってくるのは緊急事態法である。少し前に麻生副総理が発言したように、ヒットラーはワイマール憲法48条を根拠に大統領に権限を集中させる緊急令の発動により、憲法を形骸化し全権委任法を成立させた。安倍政権はこの「ナチスの手口」を真似て、緊急事態法を成立させようとしている。憲法の条項改正=「改憲」ではなく、「壊憲」が狙われている。従って憲法を守る運動だけでは駄目で憲法を活かす運動が求められている。

 緊急事態法の次に狙ってくるのは現行憲法が「現実に合わないから」を名目にした改憲である。今年三月に安倍内閣は「核兵器の使用は憲法違反でない」「生物化学兵器の使用も憲法違反でない」との二つの閣議決定を行った。明らかに「武力による威嚇、武力の行使を放棄した」9条違反であるが、テレビや大手新聞はほとんど報道しなかった。

 改憲派の国会議員が3分の2を占める状態が続くと、南スーダンへの自衛隊PKO派遣に駆け付け警護を付与する、共謀罪の法制化、沖縄新基地問題、白紙領収書など「なんでもあり」が許され、憲法の形骸化が平然と行われていく。憲法を作り直す運動がいま重要になっている。

 

自民党「改憲草案」を改めてチェック

 前文、13条、18条、24条、97条、99条について現行憲法を自民党草案はどのように改定するのか逐条的に解説した。(紙面の都合で割愛:原文を参照ください)

 

伝えるべきことを伝えないマスメディア

 新聞の本来の役割は、ただ事実を伝えるだけではなく、いま何が重要なのか工夫して伝えることである。

 7月22日、政府が沖縄・辺野古への新基地建設計画で翁長知事を再提訴したとき、東京新聞は翌日1面トップで報道したが、朝日新聞のトップ記事は「ポケモンGO 興奮上陸」だった。また8月20日、東村の高江で琉球新報と沖縄タイムスの記者がヘリパット工事の取材中に機動隊に拘束されるという言語道断の事件があったが、朝日、毎日、NHKは一切報道しなかった。沖縄のメディアを守らない本土メディアの姿勢が問われている。

 なぜ沖縄を報道しないのか。日本政府は「沖縄の海兵隊は中国に対する抑止力として日本の安全保障に必要不可欠」と云っているが、沖縄に常駐する米海兵隊の主な任務は人道支援・災害救援である。米軍や米兵の特権を保障する日米地位協定の抜本的改定こそ要求し交渉すべきである。

 放送を語る会の調査資料によると、報道ステーションとNEWS23は昨年6月に安保法案に関する憲法学者へのアンケート結果を報道した。しかしNHKは憲法学者1,146人を対象にアンケートを行い、422人の回答があり、そのうち「違憲」「違憲の疑い」が377人(約90%)あったが、NW9では報道しなかった。報道したのは参院選後の7月23日、クローズアップ現代で2分間だけである。参院選をめぐる報道や政治報道を回避し、自粛している。これが「戦争法」報道でみえた〝安倍首相のための〟NHKの実態である。

 朝日新聞はリーデングペーパーであり、朝日新聞やNHKが動けばメディアは変わる。しかし最近の朝日新聞には奇妙な中立ぶりがある。5月3日、憲法記念日に開かれた集会では、翌日朝刊は5万人が参加した護憲派集会と1,100人が参加した改憲派集会をいずれも22行の同じ字数で報道した。一方、同日の毎日新聞は護憲派の憲法集会を写真付きで56行で掲載、改憲派の集会報道はない。ジャーナリズムは権力の監視と批判が立ち位置であり、中立はありえない。朝日新聞には何とか踏ん張ってほしい。

 

明るい兆しと私たちのすべきこと

 ここでわれわれが頑張らないと憲法が壊され、独裁政治になってしまう。米国に対してもの言う民主国家より米国の命令に従う独裁国家のほうが楽だから、これを何とか阻止しなければならない。

 新潟県知事選挙の勝利で元気をもらった。共産党、社民党、自由党による野党共闘と市民の共同の力が発揮されたからである。民進党は連合から離脱して市民と連携すべきである。

 われわれ市民は、「事実」と「真実」をつかんで運動しないと仲間が増えない。そのためには「週刊金曜日」を読んでほしい(笑い)。マスメディアのなかにも良心的な記者がたくさんいる。この記者たちと手を結び合って闘っていこう。「憲法」を自分たちのものにしよう。まずはひとりひとりの「怒」と「熱情」が原点である。子や孫たちのために手を取り合ってこの闘いに勝ちましょう。

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