共謀罪法案の制定に反対する声明/戦争をさせない石川の会

 戦争をさせない石川の会は、政府が今国会で成立を目指している共謀罪(テロ等準備罪)法案が、戦争をする国づくりに反対する私たちの行動を内心にまで踏み込んで捜査の対象とする憲法違反の内容であると判断しています。5月19日、別紙の「共謀罪法案の制定に反対する声明」を内閣府と法務省に送付し、直ちに法案を撤回するよう要請しました。

 

内閣総理大臣 安倍晋三様

法務大臣 金田勝年様

      共謀罪(テロ等準備罪)法案の制定に反対する声明

                        戦争をさせない石川の会

 

 政府が国会に提出した共謀罪(テロ等準備罪)法案は認めることができないので、ただちに法案の撤回を要求する。

 安倍首相は施政方針演説の中で共謀罪の必要性について、「テロ対策のために、テロ等準備罪を罰する法案をつくり、国連国際組織犯罪防止条約に加入しないと、東京オリンピック・パラリンピックを開けない」と説明している。しかし、法曹界や憲法・刑法学界からは、国際組織犯罪防止条約がテロ対策だというのはこの条約の目的に反していると明確な反論がなされている。すでに3度にわたって国会に提出された共謀罪だが、これまでもテロ対策のためと説明されてはいない。

 安倍首相は事実に立脚した議論を軽視し、テロ対策という「ウソ」の理由でオリンピックを期待する国民感情を利用して共謀罪の成立をはかろうとしており、その政治手法に強く抗議する。

 安倍首相の政治信条は、日本をふたたび戦争をする国に作り替えることにある。特定秘密保護法、戦争法(安保法制)など、日本国憲法に違反する法の制定を強行してきた事実がそれを示している。自民党の憲法改正草案では、日本国憲法の平和主義を全面的に破壊する国防軍の創設を掲げている。共謀罪の目的は、戦争をする国に歯止めをかける批判的な人や団体を共謀の段階から捜査、逮捕の対象とすることで、その抑止効果をねらった点に最大の眼目がある。

 共謀の捜査では話し合いや合意の証拠を集めるために、疑いを持った人のコミュニケーションすべてを監視することになり、盗聴法(通信傍受法)の活用は一段と進むに違いない。昨年末、盗聴法は捜査で電話やメールを傍受できる通信傍受の対象犯罪を拡大したばかりだが、さらなる改正がされるだろう。日本国憲法は21条で表現の自由を謳っているが、第2項では「検閲は、これをしてはならない」「通信の秘密は、これを侵してはならない」と書かれている。あえて検閲の禁止と通信の秘密確保が明文化されたのは、先の大戦の経験から、戦争には必ず検閲がおこなわれ、表現の自由が侵されて戦争の歯止めが失われた反省にもとづいている。しかし、すでに盗聴法の拡大は進んでおり憲法21条2項は空文化しつつある。共謀罪の成立で警察の盗聴はより合法化され、市民のコミュニケーションは全部盗聴される可能性がある。巨大な監視社会となるであろう。

 共謀罪の次の問題は、法案にある犯罪の構成要件がかなり曖昧であり、恣意的な検挙がおこなわれる恐れがあることである。有罪であるか否かより、とりあえず逮捕することが常態化するであろう。すでに沖縄県では、基地反対運動のリーダーが微罪であるにもかかわらず長期拘留された事態が起こっている。我々の会が主催した「泊・横浜事件」の勉強会では、第2次大戦末期、当時の特別高等警察が治安維持法を使って、富山県泊の料理旅館で開かれたある出版記念会の一枚の写真をもとに、その会合を共産党の再建会議と虚偽の事件を作りあげ、出席した関係者を逮捕・長期拘留・拷問などによって犯罪者に仕立て上げ、彼らの自白をもとにさらに逮捕者を広げていった悲惨な人権弾圧・言論表現弾圧の歴史を学んだ。この共謀罪が現代の治安維持法と言われるように相当広範に恣意的運用ができ、「泊・横浜事件」が示すように市民団体の通常の活動までもその対象になる可能性がある。政府は、一般の人は関係ないと強調するが、曖昧な犯罪の構成要件から善良な市民が意識しないうちに共謀の対象になっていることは十分に考えられるのである。

 戦争をさせない石川の会は、このような憲法違反の共謀罪法案制定に強く反対する。安倍首相はこれまでの国会運営において、自公勢力の数の力で秘密保護法や戦争法の成立を強行してきた。共謀罪法案についても同様に数の力で押し切る暴挙は許されない。安倍首相と金田法務大臣はただちに「共謀罪」法案を国会審議から撤回するよう要求する。

   2017年5月19日

                         戦争をさせない石川の会

                          共同代表:山村勝郎

                               莇 昭三

                               菅野昭夫

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