講演要録「特定秘密保護法の問題点」(弁護士 徳田隆裕)

◇講演要録◇

特定秘密保護法の問題点 

弁護士 徳田隆裕

 徳田隆裕弁護士

 平成25年12月に成立した特定秘密保護法には次のような危険性があります。 

一、特定秘密が不明確

 特定秘密保護法第3条1項に規定されている特定秘密の定義は、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止の各事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの、とされています。しかし、この定義は、大変不明確であり、どのような情報が特定秘密に該当するのかが分かりません。例えば、テロリズムの防止のための措置に、原発テロ防止のための警備体制や原発の施設情報が含まれることから、テロ活動防止の口実で、原発に関する情報が特定秘密となり、国民に原発に関する情報が届かなくなるおそれがあります。 

二、特定秘密の指定が恣意的になされる危険

 特定秘密の指定をするのは、防衛大臣や外務大臣等の行政機関の長です。政府が国民に知られたくない情報を恣意的な運用で特定秘密に指定して、隠蔽するおそれがあります。

 行政機関の長は、特定秘密に指定したことを、国会に報告する必要がないので、国民は、どのような情報が特定秘密にされたのかが分からないままになります。 

三、特定秘密の指定が恒久化する危険

 特定秘密の指定の有効期間は延長することが可能で、内閣の承認さえ得られれば、特定秘密の指定の有効期間を30年を超えて延長することができます。さらに、指定の有効期間が30年以下の特定秘密は、期限前に廃棄することが可能です。そのため、一度特定秘密に指定されてしまえば、有効期間が長い上に、国民が知らないうちに廃棄されてしまい、特定秘密は闇のままになってしまいます。

そもそも、行政機関が所持する情報は、国民の税金を使って集めた国民の共有財産のはずで、当然公開が原則となります。特定秘密保護法は、この原則に真っ向から反するものです。 

四、適正評価制度によるプライバシー侵害

 特定秘密を取り扱う公務員や民間労働者等には、適正評価が実施されます。適正評価とは、特定秘密を扱う人に、精神疾患がないか、飲酒の節度はあるか、信用状況に問題がないかを調査し、その人が、特定秘密を他人に漏らさないかどうかをチェックするという制度です。しかし、これらのプライバシー情報が把握されることによって、差別や嫌がらせがなされるおそれがあります。また、プライバシー情報をいくら把握しても、特定秘密の漏えいをする人物か否かは分からないはずです。 

五、厳罰化

 特定秘密を取り扱う者が、特定秘密を漏えいした場合、10年以下の懲役となるおそれがあります。また、みんなが知っていると信じて特定秘密を話してしまったような過失犯や、誰かに特定秘密を伝えようとしたが結果として伝えることができなかったような未遂犯も処罰されます。

その他にも、一般市民であっても、特定秘密の漏えいについて、話し合いをした場合に共謀、特定秘密を教えてとそそのかした場合に教唆、特定秘密を教えるようにあおった場合に扇動と認定されれば、5年以下の懲役になるおそれがあります。 

六、結論

 刑罰をおそれて、マスコミの取材が萎縮し、国民に必要な情報が届かなくなります。国民は、マスコミからの情報をもとに政治的な意思決定をすることで、民主主義が機能するのです。

特定秘密保護法によって、国民への情報が枯渇し、国民が誤った政治的判断をするおそれがあります。まさに、国民の知る権利が侵害され、民主主義が破壊される危機にあります。これからも、私達国民は、世紀の悪法である特定秘密保護法に反対し続けなければならないのです。

 

◎本稿は戦争をさせない石川の会が9月25日、金沢市近江町交流プラザで開いた講演会の要録です。講師の徳田隆裕・金沢合同法律事務所弁護士にまとめていただきました。

2014.9.25 講演会

 

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